A Portrait of Myself

初めは単純な考えでした。「自分にとって大切な人達の写真を撮りたい。」誰でも持つこの気持ちから友人や家族の写真を撮り始めました。特にポーズを取らせる訳でもなく一緒に過ごしている時間の中で「あっ、そのままそこに立ってて。」くらいのやり取りがあっただけです。でも、フィルムを現像し、その中から数枚の写真を焼いた時、そこには自分が期待していた以上のものが写っていました。そして、それを見た瞬間に思いました。「人生の今のこの時間が過ぎてしまう前に撮っておきたい。」

ここに写っている人達は私の一部であり、自分という一人の人間の存在を考えたときに欠くことの出来ない人達です。そんな彼らに対する愛情表現として写真を選び、私にとっての彼ららしい姿をとらえたくて撮りました。

しかし、この作品集は決して私だけが理解できるものではないと思います。ここに写っているのは二人の人間が自然体のままで向かい合った時間の記録です。鑑賞者としてこれらの写真をみている方にも被写体の視線、表情、姿勢などを通してシャッターを切った時の私と被写体との心の会話を感じ、共感して貰えれば嬉しいです。

今の自分を形作ってくれ、常に新しい刺激を与え合い共に成長していく人達を一生懸命に写真に捉えようとする中で、私は実はその人達を通して自分のポートレートを撮っていたのかもしれません。

Copyright © 2002 Arito Suzuki